SaaS企業のメトリクスは何がある?17の指標と事例を解説!

2021.12.06

2021.12.28

BtoBマーケティング

「SaaS企業を運営しているけど、どんなメトリクスが重要なのだろう?」

「SaaSの事業を伸ばしたいが、成長を図るにはどんなメトリクスをみればいいんだろう?」

このようにお悩みではありませんか?

SaaS企業のビジネスは特徴的で、メトリクスを確認するには前提知識が必要です。

そこで今回は、SaaSビジネスで重要な17の指標をご紹介し、事例も含めて解説します。

今回の記事でSaaSビジネスの経営におけるポイントが理解できるでしょう。

それでは早速解説します。

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最も重要なSaaSのメトリクス(経営指標)とは?

元PayPal COOかつ元Yammer 創業者兼CEOで、現在のCraft Ventures共同創業者兼GPであるDavid Sacks氏は、「The SaaS Metrics That Matter」という記事の中で、最も重要なSaaSのメトリクス(経営指標)として、6つのカテゴリー別に17のメトリクスを紹介しています。

それぞれ確認していきましょう。

Growth(成長性)

最初のカテゴリーは、Growth(成長性)で収益に関する指標になります。

以下の通り、4つのメトリクスがあります。

MRR or ARR

顧客が、あるサービスに毎月使用料を支払うといった繰り返し得られる収益のことをRecurring Revenue(定期収益)と呼びます。

MRR(Monthly Recurring Revenue/月間経常収益)は、Recurring Revenue(定期収益)部分をまとめた月ごとの売り上げを指します。

ARR(Annual Recurring Revenue/年間経常収益)は、MRRの年間バージョンになりますので、MRR x 12で算出します。

CMGR

CMGR(Compounded Monthly Growth Rate/月平均成長率)は、1か月の成長率を複利で計算した月平均の成長率のことで、MRRの月平均成長率です。

スタートアップ企業の場合、単純な対前月比の「月次成長率(MoM growth)」は、推移によってはバラツキが生まれることがあります。

他社との比較がしやすくなるように、複数の月にわたる成長率を把握する場合は、複利を考慮したCMGRを用いた方が良いでしょう。

MRR Components

MRRを以下のように分解し、それぞれがどのように推移しているかを分析します。

  • Retained(既存顧客の通常のMRR)
  • Expansion(既存顧客が前月からプランをアップグレードした追加分のMRR)
  • New(新規顧客のMRR)
  • Resurrected(以前解約した顧客が復活した分のMRR)
  • Contraction(既存顧客が前月からプランをダウングレードした損失分のMRR)
  • Churn(その月に解約した顧客の損失分のMRR)

Customer Concentration

Customer Concentration(顧客の収益集中)とは、個々の顧客が、収益全体に対してどの程度の割合を占めているかを分析します。

ある特定の顧客からの売り上げが目立って多い場合は要注意となります。

顧客の集中リスクが低いといえるのは、最も売上額が多い顧客の売り上げが、全体の10%以下の状態といわれています。

Retention(更新率)

このカテゴリーはRetention(更新率)で、サービスを継続した顧客の割合という指標になります。顧客がサービスを継続することをRetentionといいます。

以下の通り、2つのメトリクスがあります。

Net Retention Rate

NRR(売上継続率)は、前年と比べて既存顧客の売上維持ができているかどうかを測ります。

前年と比較して、既存顧客の売上がどのように増減しているかによって、翌年度の売上を推測します。

NRRの数値が100%を上回っていれば、契約は良好で安定した経営であるという事になります。なお、アメリカの上場SaaS企業のNRRの中央値は117%と言われています。

Logo Retention

Logo Retentionは、特定の期間にわたって、サービスを維持した顧客の割合です。

顧客の規模により基準が異なります。

例えば、エンタープライズ(90~95%)、ミッドマーケット(85%)、SMB(70~80%)などがあり、カッコ内の数値以下の場合は注意が必要になります。

Sales Efficiency(営業効率性)

3番目のカテゴリーは、Sales Efficiency(営業効率性)で、ある規模の営業マーケティングコストを投下した場合に、それに対して翌年の1年間でどのぐらいの売上が上がるのか、という比率を表す指標となります。

以下の通り、5つのメトリクスがあります。

New Sales ARR/S&M Expense

New Sales ARR/S&M Expenseは収益と費用を比較する指標で、「新規顧客からのARR(年間経常収益)>費用(広告費や販促費などすべてのコスト)」のように、収益の方が大きくなっている事が重要です。

Customer Acquisition Cost

CAC(Customer Acquisition Cost/顧客獲得単価)とは、顧客一人あたりの獲得費用のことです。広告費や販促費などすべてのコストを新規顧客の数で割って算出されます。

通常は新規顧客獲得までのタイムラグを反映させるため、前月・前期の費用を使用します。

New ACV/CAC

「新規顧客からのACV(Annual Contract Value/年間契約金額)>CAC」のように、契約金額の方が大きくなっている事が重要です。

CAC Payback

「ARPA(Average Revenue Per Account/1アカウントあたりの平均売上)×売上総利益率」で割ったものです。

CACを利益にて回収できるまでの期間を指し、12か月以内が理想とされています。

期間が短いほど、顧客獲得戦略の費用対効果が高いといえます。

Magic Number

「新規顧客からのARR(年間経常収益)÷費用(広告費や販促費などすべてのコスト)」で算出され、売上に対してコスト(営業・マーケティング)の回収がされているかどうかの指標になります。

Margins(粗利率)

4番目のカテゴリーは、「Margins(粗利率)」で総収益より売上原価を引いた収益を指標とします。

以下の通り、2つのメトリクスがあります。

Gross Margin

Gross Margin(粗利率)は、総収益より売上原価を引いた収益です。

売上原価(COGS:Cost of Goods Sold)には、インフラ・人件費・減価償却費など、サービスまたは製品を顧客に提供するために必要なすべての費用が含まれます。

Gross Margin(粗利率)が高いと、ビジネスの成長に投資することが出来るため、より速く成長できることを意味します。

SaaS企業が目指すべき粗利率は、約80%と言われています。

Life Time Value

LTV(Life Time Value/顧客生涯価値)とは、一人の顧客がリピートや新サービス・アップセルなどで、繰り返しもたらされる長期的な利益・価値のことです。

LTVを高めるためには、企業に対する愛着心を高めることが1つの方法になります。

具体的には、例えばカスタマーサクセスやカスタマーサポートの質を高めるという方法があります。

このように、顧客と良い関係を続けて、LTVを高めることができれば、新規顧客開拓を行うより効率的な収益拡大に結び付けられるため重要視されています。

Capital Efficiency(資本効率性)

5番目のカテゴリーはCapital Efficiency(資本効率性)で、株主資本(Equity)や負債(Debt)で調達した資金をどれだけ効率的に投資できているかを示す指標です。

以下の通り、2つのメトリクスがあります。

Burn Multiple

「Net Burn(実質コスト)÷新規顧客のARR(年間経常収益)」で算出されます。

現金をどれだけ使って新規顧客のARRが生み出されているかを測り、指標が1以下であれば理想と言われています。

Hype Ratio

Hype Ratio(誇大広告比率)は「資金調達額÷ARR(年間経常収益)」で算出されます。

最近のパフォーマンスに重点を置いている資本効率の測定値になるため、Burn Multipleの方をお勧めします。

Engagement(顧客親密性)

最後は、Engagement(顧客親密性)で、顧客との親密性の高さを測るための指標です。

以下の通り、2つのメトリクスがあります。

Daily Active User/Monthly Active User

「DAU/MAU(アクティブ率)」とは、サービスに対する顧客の利用頻度を表しています。

20%以上で優秀、40%を超えるのが理想、と言われています。

Daily Active User/Weekly Active User

「DAU/WAU(アクティブ率)」で、月間ではなく週間アクティブユーザーの値を使用します。この場合は、60%以上が理想的と言われています。

国内外の事例で確認!SaaS企業が重視するメトリクス(経営指標)は?

具体的に国内外の事例をもとに、SaaS企業が重視するメトリクス(経営指標)を確認してみましょう。

sansanは連結売上高の継続的成長を重視

Sansanの経営方針では、目標とする経営指標として「連結売上高」の成長、すなわち継続的成長を重視しています。

そのため、「Sansan」の契約件数や契約継続率(解約率)、「Bill One」の有料契約件数やMRR(月次固定収入)などを同様に重視しており、Eight事業においては、BtoBサービスの成長や、ユーザーネットワークの構築・拡充を目的としたユーザー増加数についても重要視しているようです。

freeeは長期的な成長・顧客親密性を重視

freeeは、経営指標として長期的な成長を掲げており、「顧客親密性」を重視しています。

つまり、経営方針として、短期的な利益よりもミッションへの適合性やビジョンの実現により近づくかどうかを優先させているわけです。

その結果として、中長期的な成長と収益性を最大化させることを重視した意思決定をしていることがわかります。

また今後も、ユーザー企業の本質的な課題への洞察、および、本質的な課題解決を可能にする技術への投資を継続し、中長期的な顧客への価値の創出に重きを置いているようです。

Salesforceはカスタマーサクセスを重視

セールスフォース・ドットコムは、顧客の成功を支える力こそがSalesforceの強みであるとし、経営指標として「カスタマーサクセス」を重視しています。

そのため、契約継続率(解約率)やLTV(Life Time Value/顧客生涯価値)にフォーカスした経営をしており、契約継続率の平均値は90%を超えているほどです。

その結果として、売上20%以上の成長を創業以来継続できているといいます。

顧客の成功に向けて最大限の支援を行い、そのためのビジネスのイノベーションと拡大を推進しているのが特徴的です。

まとめ:SaaS企業のメトリクスは長期的視点で判断しよう

ここまでに挙げた最重要なSaaSのメトリクス(経営指標)は、あくまでも一般的なKPIであり、正解というわけではなく、様々なSaaS企業が独自のKPIを設定しています。

その中でも、sansan・freeeやSalesforceのように、契約継続率や顧客親密性を重視して経営を進めることで、長期的な成長を実現できることがわかるでしょう。

さらに外部の知見を活用するなら、SaaS企業の顧客を多くもつところから情報収集をするといいでしょう。実は営業DX.jpを運営するFLUEDは顧客の6割がSaaS企業です。

SaaS企業のKPI設定について詳しく知りたい方はこちらへどうぞ!

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松永創 FLUED CEO / 代表取締役 BtoBマーケティングスペシャリスト

松永創 FLUED CEO / 代表取締役 BtoBマーケティングスペシャリスト

国内システムメーカーの営業としてキャリアをスタート。その後 テレマーケティング企業で事業/拠点の立ち上げ・営業企画に従事。自身もインサイドセールス部門での業務経験を積む。

その後B2Bマーケティングエージェンシーでベンチャー企業から大手IT企業、製造業など様々なマーケティングに携わる。BtoBマーケティング/営業DX/インサイドセールスで携わった企業/プロジェクトの数は500以上に及び、スピード感あふれるコンサルティングには定評がある。

B2Bマーケティング/営業DXなどのテーマを中心になど講演多數。