知られざるSaaSの種類!バーティカルSaaSとホリゾンタルSaaSの違いや特徴を実例付で徹底解説!!

2021.01.31

2021.04.16

営業DXコラム

こんにちは!
SaaSビジネス/BtoBマーケティングアナリストの澤田です。
今回は、SaaSの種類と国内外のSaaSトレンドを事例を交えながら徹底的に解説します。

「SaaSに種類なんてあるの!?」そう思ったあなたは必見!!


もしあなたの会社でSaaSの開発や販売をしていたり、SaaSを事業展開する会社がクライアントにいる場合はSaaSの種類を知ることは必須の知識です。
プロモーションの仕方や売り方、競合分析の手法まで「そのSaaSは何か?」によって大きく異なります。

2種類のSaaS

皆さんは、「SaaS」というワードを聞かれた場合どのようなイメージを持つでしょうか?

「クラウド」「月額課金」「法人営業」「インサイドセールス」「カスタマーサクセス」などSaaSのビジネスモデルやセールス・マーケティングの特徴に興味を持つ方もいれば、「EC」「CRM」「会計」「勤怠管理」「サイバーセキュリティ」などSaaSの事業領域について考える方も多いかもしれません。

今回、この記事のメインテーマは、「SaaSが事業のどの部分を効率化するためのシステムであるか?」です。
SaaSの世界では、カバーする事業領域ごとに、「バーティカルSaaS」と「ホリゾンタルSaaS」の2種類に分類されます。
ここからは、「バーティカルSaaS」、「ホリゾンタルSaaS」の違いをそれぞれ具体的に検証します。


ホリゾンタルSaaS

はじめに読者の皆さんにも馴染み深いホリゾンタルSaaSについて説明します。
ホリゾンタルとは、「Horizontal」=「水平」という意味であり、どのような業界でも利用されるSaaSのことであり、代表的な例をあげると、クラウド会計の「freee」、ラクスの展開する勤怠管理SaaS「楽楽勤怠」、セールスフォースの提供する顧客関係管理システム(CRM)の「Salesforce」などです。
会計・勤怠管理・顧客管理システムは、基本的に会社を運営している場合、業種・業界問わず使用されます。
このようにホリゾンタルSaaSは、業種・業界問わず幅広く(水平に)利用されているため、知名度が高い企業が多く、上場している企業も数多く存在することが特徴です。
一方、ターゲットとなるクライアントの幅が大きいということは、周囲と差別化するための難易度が高く、競合となる会社も多く存在するため、差別化の難易度が高いことも特徴です。


バーティカルSaaS

次に、バーティカルSaaSについて説明します。
バーティカルとは、Vertical=「垂直」を意味する言葉です。
垂直と事業領域になんの関係があるのか疑問に思う方も多いと思いますが、これは「特定の業界に特化している」と言い換えることができるでしょう。
バーティカルSaaSの具体例をあげると、ECの受発注管理を行うHammieの「ネクストエンジン」、クラウドPOSシステムや医療用機関向けの予約管理や電子カルテ管理の支援サービスを展開するメドレーの「CLINICS」、不動産管理業務の効率化やオーナーとのコミュニケーションツールを提供するWealthParkの「WealthPark Business」などのツールが代表的です。

これらのバーティカルSaaSとして分類されるサービスは、特定の業種・業界に特化しています。
別の言い方をすると、専門領域に特化しているため、後述するホリゾンタルSaaSのサービスと比較すると知名度は高くなくマニアックなサービスが多い傾向があるのです。
そのため、バーティカルSaaSの領域は、現在上場している企業も決して多くはありませんが、これから上場が見込まれるポスト上場企業の宝庫であり、投資家を喜ばせるフィールドであり、今後の動向に注目です。


バーティカルSaaS×ホリゾンタルSaaS

ここまで、バーベキューSaaSとホリゾンタルSaaSの主な違いについて解説してきました。
これらのSaaSは、どちらかが良い・悪いではなく、それぞれ得手不得手があるため、
ここからは、バーティカルSaaS、ホリゾンタルSaaS両者の利点・欠点を比較していきます。

ホリゾンタルSaaSのメリット・デメリット

メリット


1, ある程度サービスを広げることができれば会社の知名度を大幅に上昇させることができる。

2, 業種・業界を問わないため、営業先が無限に存在する。

3, 知名度の上昇による人材採用や資金調達が比較的容易。

デメリット

1, 競合とのサービスの差別化が難しく営業の難易度が高い。

2, 競合とのシェアの取り合いが思わぬ事態に発展する場合がある。
(freee VS マネーフォワードの裁判)

バーティカルSaaS

メリット

1, サービスがハマると業界の特定分野を独占できる。

2, 他社が真似しづらい。

3, 競合が限定されており、顧客の乗り換えや解約のリスクが低い。

デメリット

1, 知名度をあげにくい。

2, サービスを提供できる範囲が特定されているため会社規模が大きくなりにくい。

国内SaaSのトレンド

さて、この記事のメイントピックは、国内外のホリゾンタルSaaS、バーティカルSaaSのトレンドを比較することですが、はじめに知名度が高く、イメージしやすい国内のホリゾンタルSaaSについて紹介していきたいと思います。
2020年国内でIPOしたSaaS系企業は全12社、2019年の国内IPOでIPOを実施した企業は全10社でした。
また、2020年にIPOを行った企業は93社、2019年にIPOを行った企業が86社ですので、全IPOのうち10%以上はSaaS系の会社であるとされています。しかし、会社はあくまでSaaSを事業の中核として運営する企業(ガチSaaS企業とでも表現しましょうかww)であるため、セグメントや事業部門、サービスの一部をSaaSビジネスで運営していたりECプラットフォームをSaaS式で提供している企業を含めると、その数はもっと増えるのではないでしょうか?

私は、2019年と2020年に上場したほぼ全ての会社のIPO時の有価証券報告書を見ましたが、私の体感では、全体3割以上の企業がSaaS系のビジネスを運営していると思います。


では、どのようなSaaS系企業が上場してるか見ていきましょう。
ガチSaaS企業に限定すると、2019年が「freee」、「Sansan」、「Chatwork」、2020年は「ビートレンド」、「トヨクモ」、「プレイド」などが有名な企業となります。おおよその傾向ですが、BtoB×ホリゾンタルSaaSが多い印象です。

SaaSは、サービス形態としての歴史はまだ浅いビジネスモデルですが、会計、勤怠管理、サイバーセキュリティなどの分野は、その中でも既に伝統的なサービスです。
時代の潮流を考えると、2020年に発生した新型コロナウイルスの影響から2021年以降は、「営業」「人材管理」の部門がホットな領域になると思います。なぜなら、「テレワーク」「在宅勤務」などのニューノーマルは、コロナ禍の影響が落ち着いた後、定着すると考えられるからです。

では、この2つの分野に焦点を絞り、SaaSビジネスの動向を考察していきましょう。

国内ホリゾンタルSaaSトレンド

トレンド① SaaS×営業


はじめに「営業」分野のSaaSビジネスの動向からご説明します。
ビジネス感度の高い方は、「インサイドセールス」にコロナ禍以前から注目していましたが、コロナ禍以降、Zoomなどを利用した営業が一般化し、訪問営業や出張は劇的に少なくなりました。
皆さんがよく利用するZoomは、大変利便性が高く、無料かつ高品質のサービスであるため、ミーティングなどには最適のツールですが、営業の分析や改善に役立つようなデータを収集できるほど営業に特化したツールではありません。
しかし、実際の営業には細やかなトーク術やチームメンバーと共有することでPDCAを回すサイクルを作ることが必須です。
そして、訪問や出張などに代わり、オンラインでの商談などが常識となった現在、「営業」に特化したSaaSは大きく脚光を浴びています。
「営業」に特化したSaaSとして注目されているサービスの1つは、ベルフェイス株式会社が運営する「オンライン商談システムbellface」です。ベルフェイスは、2021年1月現在、上場に向けた動きを公式には見せていませんが、莫大な資金調達を繰り返し実施しているユニコーンとされています。
Zoomは利便性が非常に高く、大変便利であり非常に汎用性が高いサービスです。一方、営業に専門特化したサービスではないため、営業のPDCAや改善に必須であるコンサル要素や分析要素までを含んだサービスではありません。

「bellface」は、このような点をブレイクスルーしオンラインでの商談・営業を促進するための機能と「超」充実したカスタマーサクセスを強みとしたサービスとなっています。

ベルフェイスは照英の「ヒラメ筋」CMでもおなじみのサービスです!
使ってみるとわかりますが、実は商談やミーティングの際は電話を使うんですよ!

トレンド② SaaS×人材管理


コロナ禍以降の2つ目のSaaSトレンドは「人材管理」面であり、2019年に上場した「カオナビ」が代表的です。
ニューノーマルの世界では、「会社に出社したことがほとんどない」「チームメンバーとオンライン上でしか顔合わせしたことがない」といった状態が珍しくなくなる世の中になる可能性があり、近い将来「満員電車」は「電話交換手」のように過去の遺産となってもおかしくありません。
しかし、組織を形成し事業を運営するのが「人」であることは変わらないでしょう。
また、このように実際に対面で出会ったことのない人同士が円滑に事業を運営したり、人事的な評価を行うためには人材管理ツールが不可欠です。注意しなければならない点は、この場合の「人材管理」は、勤怠管理や給与計算など定量的な数値ではなく、貢献度や成果などの定性的データを示しているということです。
ニューノーマルな働き方が主流になりつつある現在、上記のような観点から人材を評価・育成する人材管理ツールはより必要性の高いサービスとなっています。
「カオナビ」では、このような定性的データを管理することを「タレントマネジメント」と定義しており、社員の顔や名前、経験、評価、スキルなどの人材情報を一元管理して可視化することでタレントマネジメントを行うツールをSaaS式で提供し、SPIなどのテストツールとAPI連携するなど機能拡張が進行中です。

SaaSというとハイテクなイメージを持ちますが、カオナビのUIはめちゃくちゃシンブルであるのが特徴です。
まさに「シンプルisベスト」



国内で注目されるSaaSサービスは、ここまで説明した通り、直近のトレンドや今後のトレンドから見るとホリゾンタルSaaSが圧倒的な地位を占めています。
また、分野の傾向としてはどのような業種・業界でも存在する「バックオフィス」業務に利用される勤怠や会計、人材管理、営業会社であればどこでもニーズがある顧客管理サービスやABM、ビジネスチャットなどのサービスが代表的です。

国内バーティカルSaaSトレンド

ここからは、国内の業界特化型のバーティカルSaaSのトレンドに注目していきましょう!
この部分のトレンドとしては、「EC」と「不動産分野」が注目されています。

トレンド① SaaS×EC

まず、ECに関してですが、Amazonなどの台頭からも推測できる通り、その勢いはコロナ禍以前から顕著でした。
また、コロナ禍以降は巣ごもり消費などの影響によって、ECはその需要を急激に高めています。
ECは、「商品を仕入れ→顧客に宣伝し→購入された商品の決済を行い→顧客へ配送し→顧客のサポートを行う」という一連のフローでビジネスが形成されますが、EC特化型のSaaSとしては、プロセスごとにそれぞれ異なるSaaSツールが利用されるので、「EC系」の中に様々なタイプのツールがあることを認識することが重要です。

それでは、EC領域のSaaSの具体例をご紹介します。
例えば、2020年に上場したインターファクリーやコマースOneホールディングスが展開するECプラットフォームサービスは、顧客のECサイトの構築に特化しており、ECの一連のプロセスの中では、商品の宣伝から決済の部分に特化しているツールです。
他方、2018年に上場したロジザード、2020年上場の関通が提供するサービスは、倉庫業務における入出荷サービスに利用されるWMSと呼ばれるシステムです。このツールが利用されるシーンは商品の入出荷管理が行われるのシーンとなります。

現時点で、中小企業向けWMSのシェアはロジザードが圧倒的です。
また、ロジザードはWMSのシェアを利用し、EC業者と倉庫のマッチングサービスである「ロジザードマッチン」を展開しています。


ECの市場規模の拡大を受け、通常発生するECの業務フロー以外のシーンでもSaaSが導入されはじめています。
代表的な例は、2020年の年末に上場した「かっこ」が運営する「O-PLUX」です。「O-PLUX」は、ECサイトにおける代金未払いとなり得る注文をリアルタイムに検知するSaaS型サービスであり、近年急増しているとされるオンライン決済における不正検知に特化したサービスとなっています。このように、ECに特化したSaaSシステムの特徴は、分割された各業務フローに適応したツールがそれぞれのフローで活躍しているのです。

トレンド② SaaS×不動産

次に、バーティカルSaaSの2つ目のトレンドである不動産領域についてのご紹介をします。
不動産の賃貸や購入の契約をしたことがある方であれば、一度は経験したことがあると思いますが、不動産の契約のシーンではとにかく大量の書類が必要です。また、書類が多いためデータ管理なども非常に困難であり、コロナ禍に関わらず、このような不動産業界の業務の特徴は、以前から生産性を低下させる課題として顕在化していました。
そのことから不動産関連のバーティカルSaaSは、業界ならではの業務の効率化や生産性向上を目的としたツールとして設計されています。

1つ目にご紹介するサービスは、2020年にIPOを達成した日本情報クリエイトが提供する「賃貸革命」です。
「賃貸革命」は、不動産賃貸・管理業務で常に発生する入居者の家賃の入金や更新、解約などで発生する書類をペーパーレス化することができます。さらに、収集したデータをデータベース常に自動保存する機能を備えているため、過去データの検索や契約書の内容などを簡単にチェックすることが可能です。

2つ目にご紹介するサービスは収益不動産の管理をSaaS型サービスで提供するWealthParkです。WealthParkは、未上場企業ではありますが、2020年8月時点で、総額約19億円の資金調達を実施している企業です。
このサービスは、不動産管理会社向けにオーナーアプリと呼ばれるシステムを提供することで、不動産管理に関わるオーナーとの契約や報告業務、チャットによるコミュニケーションに特化したサービスとなります。
また、不動産業務における法的な規制緩和や変更などを受け、米国に本拠地を持つ電子署名サービスを提供する企業であるDocusignとパートナーシップを締結し、業界内では大きな話題となりました。


海外のSaaSトレンド

続いて海外のSaaS事業について見ていきます。
SaaSの本場はなんといってもアメリカです。
Slackを買収し、破竹の勢いで業績を拡大するザ・CRMツールを展開するSalesForce、ABMツールを展開するHubSpot、ECサイト構築サービスを展開し「Amazonキラーの異名を持つ」Shopify、コロナ禍で急成長したお馴染みのZoomなど早々たる面々です。

アメリカの市場では、日本の証券コードのように「ティッカーシンボル」と呼ばれるコードが用いられます。
「GM」「AAPL」などのように通常は通常は企業の頭文字が当てられますが、SalesForceのシンボルはなんと「CRM」です!自分たちを顧客管理システムそのものだとする並々ならぬ気迫を感じますね!


私は、本場アメリカにおいてSaaSが普及した理由としては「インサイドセールスの文化が元々形成されていた」ことに原因があると思います。

商談を例に考えてみましょう。
例えば、東京で商談をするとします。
その場合、多くの企業が23区内、とりわけ山手線周辺に集約されているため、電車や徒歩をで回った場合であっても、効率よく商談をこなすことができれば1日で5社以上訪問することは決して不可能ではありません。
また、クライアントの本拠地が関西である場合でも一定以上の規模の企業であればほとんどの場合、東京へ拠点を持っています。
そのため、コロナ禍以前であれば、ビジネスを進める上で必須である「商談」が訪問であっても難なく行えていました。

一方、アメリカは東京のようにはいきません。
第1に国土が広いため、1日で複数の訪問による商談を組むことそのものが非常に困難です。
また、時間をかけ相手方を訪問した場合でも、失注してしまった場合などを考えると訪問営業そのものがリスクであるといえるのです。
そのような背景から、アメリカでは相手方とのビジネス交渉を進める際に遠隔での受注や営業効率を増加させることを目的とした「インサイドセールス」が以前から発達していました。企業の中には「訪問禁止」をポリシーに設定する会社もあったほどだといわれています。
そのことから、アメリカではインターネット上で営業や商談を完結されるためにSaaSが普及する土壌が形成されていたといえるでしょう。

アメリカのSaaS事情とは!?


では、ここからはアメリカのSaaSトレンドをご紹介していきます。
アメリカでは、2020年IPOを実施した企業は430社となりました。
おおよそ日本の4倍から5倍程度の水準です。
また、この中には膨大な数のSaaS企業が含まれており、2020年も膨大な数のSaaS企業がIPOを達成しているでしょう。

アメリカのSaaSトレンドを分析していきましょう。
まず、アメリカと日本のSaaSトレンドを分析する際に注意しなければならないのは、少なくとも5年は、日本のトレンドが遅れているという認識を持たなければならないということです。
実際に、今や誰もが認知しているSalesForceやServiceNowなどのCRMツールは、2000年代には既にトレンドラインに乗っています。
その後、2010年代にトレンドラインに乗ってきたサービスは、Dropbox、Slack、ZoomなどのホリゾンタルSaaSです。
では、2020年代のアメリカのSaaSトレンドはどのようなものなのでしょうか?

アメリカのバーティカルSaaSトレンド

アメリカのトレンドもホリゾンタルSaaSが主流であり、みなさんが認知しているサービスもほとんどがホリゾンタルSaaSとしてオフィスワークにおける営業活動やCRM、バックオフィス業務などの効率化・生産性向上を目的としたサービスです。
これまで登場した「SalesForce」「HubSpot」「Zoom」「Dropbox」「Slack」や、Wealth Parkの提携先である「DocuSign」などはホリゾンタルSaaSに分類されます。
逆に、バーティカルSaaSとして日本での認知度が高いサービスは、「Shopify」ぐらいではないでしょうか?

しかし、2020年代のSaaSトレンドを牽引するのは、バーティカルSaaSであるという見方が本国では強まりつつあります。
では、本場アメリカのバーティカルSaaSは、どのような問題を解決するツールなのでしょうか?
日本のバーティカルSaaSのトレンドは急成長するECの需要に応えたサービスと、元来非効率な業務が課題として顕在化しており、法的な規制緩和などで参入の余地が大きい不動産業界のバーティカルSaaSが目立っていました。

アメリカのバーティカルSaaSを見ていきましょう!
アメリカのバーティカルSaaSのホットトレンドは、「医療系」「建設系」が牽引しています。
日本でも、メドレーやエムスリーなど注目度の高いSaaSが医療系分野において生み出されていましたが、アメリカでも医療系バーティカルSaaSはホットトレンドの中心であり、バーティカルSaaS界隈で、企業価値の高い会社が運営しているものは軒並み医療関連のバーティカルSaaSです。
先進国において少子高齢化は必須課題ですが、そのような状況に新型コロナウイルスの影響は更なる拍車をかけたと言えるのではないでしょうか?

医療系に続き注目度の高いバーティカルSaaSとして挙げられるのは、建設系SaaSです。これは、日本ではなかなか見かけない部類ですが「コンストラクションテック」という分野に分類され、アメリカでは非常に注目度の高い分野です。
コンストラクションテックは、知名度こそ高くはないものの実は日本にも存在します。
この分野で草分け的な国内の企業は「アンドパット」という企業であり、現場の効率化から経営改善まで一元管理できる施工管理ツールを提供するSaaS企業です。実は、2011年の創業後2020年まで63億円の資金調達を行う企業です。

実は、あのセールスフォースもアンドパットへ出資しているんです!

トレンド① SaaS×医療

ここでは、医療系バーティカルSaaSカンパニーの代表例として「Veeva」と「medidata」の2社をご紹介します。これらは、米国の医療系バーティカルSaaS分野ではどれもリーディングカンパニーですが、特にVeevaはアメリカのバーティカルSaaS界隈でもぶっちぎりの企業価値を誇る企業です。

はじめに紹介する「Veeva」は、製薬業界向けのCRMを開発提供する事業を中心に発展してきた企業です。
このCRMですが、医師や薬剤師を訪問し自社の製薬のPRや安全性の説明などを行う医療情報担当者であるMRが使用するために特化したCRMとして設計されています。
つまり、端的にいうとBtoB製薬セールスの営業支援ツールということになります。

このCRMは、コンプライアンスを維持しつつ、MRの業務簡略化や顧客データを収集し、医療従事者ごとの最適化されたマーケティング戦略に役立てることを目的としています。
イメージしにくいかもしれませんが、MRのセールスは非常に難易度の高い営業です。
医療従事者を訪問し営業できる時間は、5分から10分と非常に短い時間しか与えられません。
そのため、短い時間で商品のPRや安全性やリスクの説明など多くの情報を顧客へ伝えなければならないのです。
そのため、このようなソリューションツールによって、顧客ニーズをあらかじめ把握できていると、飛躍的に生産性を伸ばすことが期待できます。
Veevaのシステムは、はじめ製薬業界だけに特化したものでしたが、現在は、ライフサイエン領域全体を広くカバーするツールへとサービスの幅を拡大させています。
さらに、CRMで成長してきたにも関わらず、CRMの脱依存を目指し、「Veeva Vault」というライフサイエンス業界に特化したプラットフォームサービスを構築しました。
「Veeva Vault」は、具体的に臨床試験・治験業務・臨床データ・当局のやり取りや申請書類をコンテンツ管理するプラットフォームとして機能しています。

ちなみに、Veeva創業者のPeter Gassner CEOはSalesforce出身だそうです!
すげぇ。。。。。


次にご紹介する「Medidata」は、臨床研究に特化したSaaSサービスです。
東証には、毎年複数社の製薬開発メーカーが上場します。しかし、これらの製薬系のメーカーは赤字上場であることが非常に多い企業の代表のような企業です。
なぜ、製薬メーカーの多くは赤字になってしまうのでしょうか?
いくつか理由はありますが、原因の1つとして考えられるのは、製薬ビジネスが一般的に市場に出て実際に現金に姿を変えるまで莫大な費用と時間を費やしてしまうからです。
特に、大学発ベンチャーにような製薬会社はよく初期から中期までの研究には莫大な投資を行い、研究費用を注ぎ込みますが、臨床試験に入る前段階で大手製薬にライセンスを売り渡してしまう場合が多く見受けられます。
つまり、臨床試験というものはそれほど多くの時間やコストを費やす場であるのです。この臨床試験のプロセスを効率化させるために開発されたシステムがこの「Medidata」となります。
具体的なツールの役割は、臨床試験段階での運用や業務の最適化、データ入力とメンテナンスの負担を軽減し、チーム内の複数ある臨床システムの数を減らすことです。
製薬産業のそれも臨床試験段階に特化しているという点で、このSaaSは超ニッチなバーティカルSaaSであるといえるでしょう。

トレンド② SaaS×建設

建設系バーティカルSaaSからは2つの会社をご紹介します。
1社目は、ソフトバンク傘下のソフトバンク・ビジョン・ファンドも莫大な投資を行うKaterra(カテラ)です。
建設業界は、従来、非常に成長が遅い業界です。
スマートフォンの登場やインターネットの莫大な普及によって私たちの暮らしは劇的に変化しました。
しかし、建設現場を見てみると10年以上前と目立った変化がないことがわかります。

さらに、大手ゼネコンなどというワードを聞くと、伝統的・質実剛健というイメージと同時に、風通しがよくない・談合などのイメージが否めません。実はこれは、日本に限った話ではないのです。
アメリカでも日本と同様、建設業界の仕組みは、ゼネコン、ディーラー、下請け、輸送、物資供給など多種多様な業者が介在する非常に長いラインで構成されています。この現象は、何を意味するでしょうか?

これは、それぞれの業者がマージンを抜くことに起因する高いコストと無駄な時間の発生を助長してしまうのです。
Katerraは、このような現状を受けて登場したバーティカルSaaSサービスであり、資材調達から建設までを垂直統合し、建設業界の仕組みを最適化することを目的としたサービスとなります。
具体的には、設計から施行までの長いラインをそれぞれの業者が担当し、さらに業務区分に応じて仲介業者がいた生産ラインを自社工場で全工程を一元化することで建築物の値段を下げることに成功しています。この一元化されたラインの中にはSaaSと連携するタグが埋め込まれており、現場のスタッフは組み立て方の動画を見たり、出荷状況を把握することが可能です。
まさに一元化されたリアルなラインとSaaSのシステムが統合され、トヨタのカンバン方式がテクノロジーとともに現在の建築現場に反映されたような仕様になっています。

次に紹介するのは、大規模なビルやマンションなどの領域で利用される「Protocore」です。
このサービスは、建築プロジェクトの関係者となる、「オーナー」、「運営サイド」、「現場作業員」の繋がりを一元化し、1つのプロジェクトとして取り組めるようなシステムで設計されています。

建設プロジェクトでは、「オーナーと現場」や「現場と運営サイド」などの相互の連絡が円滑に進まないケースがどうしても多くなりがちです。「Protocore」お互いの関係者がスムーズにプロジェクトを進められるような環境を構築することで、このようなコミュニケーションの齟齬や不安を解消することを目的としています。

「Protocore」は、元々創業者が家を建てる際に工事の進捗状況がわからない事による不安を感じたことがきっかけで作られたサービスであるとされています。



まとめ

さて、今回は、SaaSビジネスを理解する必須の知識である「ホリゾンタルSaaS」と「バーティカルSaaS」の違い、それぞれのメリット・デメリット、国内外のトレンドや実例を紹介しました。
2020年代は、バーティカルSaaSが一気に飛躍するとされている年です。国内外問わず、向こう5年間で数多くのバーティカルSaaSを運営する企業が上場し、市場を賑わせることでしょう。かつて、freeeやSansanが市場を賑わせたように。

また、このような新興勢力が台頭する局面では、M&Aも活性化します。
将来の競合としての警戒感や、サービスの拡張を目論み、既に大企業となったホリゾンタルSaaS企業によるバーティアカルSaaS企業の買収合戦が始まるかもしれません。

我々、株式会社FLUEDはBtoBセールス・マーケティングの専門家としてお客様に有益な提案ができるように、引き続きこのような情報の発信や提案を続けていきます。
今後とも、是非、宜しくでお願いいたします!











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澤田 浩充 FLUED SaaSビジネス/BtoBマーケティングアナリスト

2020年、BtoBマーケティングの分析に特化した記事編集を行うため、株式会社FLUEDメディア事業部へジョイン。

メディア運営会社でのメディア運営経験を活かし、多数の新興企業の業績や経営指標を分析。バックオフィスのDXを目的としたSaaSツールやCRMツールベンダーのセールス・マーケティングに関する財務分析が専門分野。