
HubSpot(ハブスポット)は、顧客情報を一元管理するためのCRMとして活用できるほか、MAの「Marketing Hub」やSFAの「Sales Hub」と組み合わせることも可能です。営業~マーケティング~カスタマーサービスまでの充実した機能を備えているため、顧客(または見込み客)との関係性を深め、売上の最大化を目指すために役立つツールだといえるでしょう。
ただし、機能が豊富なだけあり複雑で、仕様を理解するのが難しいと感じてしまうケースもあります。
そこで本記事では、HubSpotの実際の画面を見ながら、このツールでできることを具体的に解説します。各種機能の詳細をわかりやすく紹介しているため、HubSpotに馴染みのない方でも安心です。
動画でも解説しているので、どうぞ参考にしてください。
コンテンツ目次
HubSpotでできることは何?各種機能を解説

HubSpotの管理画面には、「コンタクト・コミュニケーション・マーケティング」といったメニューが表示されています。そのため、ここでは管理メニューに沿って各種機能の特徴をご紹介します。
- ダッシュボード
- コンタクト
- コミュニケーション
- マーケティング
- セールス
- サービス
- ワークフロー
1. コンタクト

コンタクトは、マーケティングコンタクトを管理するための機能です。顧客担当者ごと、あるいは会社別に属性データ(住所や連絡先など)を一元管理できます。登録できるコンタクト数は最大100万件と、膨大なコンタクトリストを保有する大企業でも安心です。
関連記事:HubSpotのマーケティングコンタクトとは?料金についても解説
また、リスト管理機能では、動的リストと静的リストを管理できます。

動的リストとは、レコードが条件を満たすことで自動的に情報が更新されるリストです。一方の静的リストは、レコードの追加・削除を手動で行う必要があるリストを指します。
動的リストには、メールマガジンの配信先アドレスや資料をダウンロードした見込み客、静的リストには、回数限定で一斉メール送信するアドレスやイベント参加者などを登録すると良いでしょう。
関連記事:HubSpotの動的リストと静的リストの違いとは?具体的な利用方法も紹介
コンタクト機能を利用するには、無料ツールまたはMarketing Hubへの登録が必要です。
2. コミュニケーション
コミュニケーションは、メールやチャットフローを管理するための機能です。メールやチャットを使って見込み客・顧客と密接なコミュニケーションを取り合えます。代表的な機能は次の2つです。
- メールの送受信
- チャットフロー構築
メールの送受信

HubSpotの管理画面にはメールの受信トレイが用意されています。そのため、メールソフトと同じ操作感で受信メールを確認できるほか、HubSpot内からメールの送信が可能です。受信したメールに記載された氏名やメールアドレスなどの情報を、マーケティングコンタクトのリストに紐付けられるのも特徴です。
過去のメールを確認したい場合は、フィルター機能を使って関連するスレッドを素早く検索すると良いでしょう。また、受信したメールの担当者を自由に割り当てられるため、重複対応のリスクを抑えられます。
チャットフロー構築

HubSpotでは、WebサイトやSNSなどにチャットボットを導入して問い合わせ管理業務の効率化が可能です。そのチャットボットのシナリオを構築するために、チャットフロー構築機能が用意されています。
例えば、初めてチャットボットにアクセスした顧客に対する歓迎メッセージを設定したり、会話の途中で、自社のデータベースに登録されているナレッジベースへのアクセスを促したりといった設定ができます。用途に応じて複数のチャットフローを構築でき、管理画面上にステータスが表示されます。
テンプレートが用意されているため、チャットボットのシナリオ作成経験がない方でも安心です。
関連記事:【画像で解説】HubSpotでのチャットボットの作り方
3. マーケティング
マーケティングは、Marketing Hubに登録することで利用できる機能です。LP(ランディングページ)や広告などを一元管理できるため、マーケティング活動の効率化につながります。また、CMS Hubに登録すれば、いちからWebサイトを作成することも可能です。
マーケティングの代表的な機能は次の通りです。
- 広告管理
- メール配信
- LP作成
- Webサイト作成(CMS)
広告管理

広告管理は、GoogleやInstagram、Facebook、LinkedInに出稿している広告を一元管理できる機能です。それぞれのプラットフォームにアクセスせずに、HubSpotの管理画面だけで複数の広告をまとめて管理できます。
広告管理のダッシュボードには、インプレッション数やクリック数、クリック単価といった基本的な指標に加え、広告別のリード獲得数やROIなど、意思決定に重要な意味を持つ指標も表示されます。複数のプラットフォームから広告を出稿している場合、1ヶ所で効果測定を行えるのは大きなメリットだといえるでしょう。
また、HubSpotに保存されているマーケティングリストを活用し、詳細なターゲティングを設定できるのも特徴です。広告の配信先をきめ細かく設定することで、費用対効果の最大化に寄与します。
メール配信

メール配信は、マーケティング向けの配信メールを作成・管理できる機能です。
コミュニケーションのメール送受信機能と似ていますが、メール配信機能では、見込み客・顧客向けのキャンペーンや新製品情報などを一斉送信したい場合に向いています。一方のメール送受信機能は、見込み客・顧客と1対1でコミュニケーションを取る、カスタマーサポート向けの機能です。
HubSpotには、メール配信向けの多数のテンプレートが用意されています。そのテンプレートをもとに、ドラッグ&ドロップの操作で自由にメールを作成できるのが特徴です。

また、受信登録者ごとにメールの内容が自動的にパーソナライズされるため、平均開封率の向上が見込めるでしょう。配信前にA/Bテストを実施し、ある程度の成果を予測できるのもメリットの一つです。
関連記事:便利なHubSpotのステップメールとは?設定方法、シナリオ設定などのポイントを解説
LP作成

メール配信機能と同様、ドラッグ&ドロップで感覚的にLPを作成できる機能です。HubSpotのデザインテンプレートには、PC向けはもちろん、モバイル向けに最適化されたレスポンシブデザインのものも多数用意されています。
また、ページ訪問者の属性に合わせて、ページ内のコンテンツをパーソナライズできるのも特徴です。例えば、訪問者の使用デバイスや現在地、アクセス履歴など、データベースに保存された顧客情報をもとに、表示するコンテンツが自動的に調整されます。
作成したLPの成果は、LP管理のダッシュボードから確認可能です。PV(ページビュー)やコンバージョン率などの指標を定期的にチェックすることで、パフォーマンスの改善につながります。
Webサイト作成(CMS)

Webサイト作成は、ノーコードでホームページやブログなどを構築できる機能です。問い合わせページや会社案内ページなどは、LP作成と同様の操作で作成できます。
ブログのようにページ内の文章を編集したい場合は、エディターを使ってテキストや画像などを配置可能です。重要なテキストを太字にしたり、下線を付けたりといった文字装飾もワンクリックで行えます。WordPressといったCMS(コンテンツ管理システム)を利用したことがある方なら、迷わずページを作成できるでしょう。
また、適応型テストを実施すると、ページごとの成果が自動計測されるため、ページ公開前のA/Bテストとして活用できます。SEO分析ツールにより、各コンテンツのSEO面で不足している箇所をアドバイスしてくれるのも特徴です。
4. セールス
セールスは、Sales Hubに登録することで利用できる機能です。営業活動の進捗状況やパフォーマンスを一元管理できるため、業務効率化や営業成績の向上につながります。代表的な機能は次の通りです。
- 営業パイプライン管理
- タスク管理
- 営業分析
営業パイプライン管理

営業パイプライン管理は、営業活動のプロセスを時系列順に可視化できる機能です。
例えば、初回訪問~ヒアリング~商談といったプロセスがあるとすれば、フェーズごとの担当者や実行すべきタスク、想定受注額、アクティビティなどの情報をチケットにまとめられます。そのチケットをプロセス順に並べることで、一目で営業活動の進捗を管理できるのが特徴です。
また、営業パイプラインのダッシュボードには、フェーズごとの活動状況などが表示されます。営業プロセスのボトルネックを特定し、チーム全体のパフォーマンスを向上するといった使い方も可能です。
タスク管理

営業担当のタスクやToDoを一元管理できる機能です。各タスクに優先度を設定し、より重要度の高い作業から実施することで生産性を高められるでしょう。複数のタスクを順序立てて進めたい場合は「タスクキュー」が便利です。
Googleカレンダーを同期させると、予定されているミーティングをHubSpot上で素早く参照できます。例えば、メールの開封状況や資料の閲覧状況なども、ダッシュボード上で一目で把握できるようになるため、営業マネージャーの方にとって欠かせない機能だといえるでしょう。
関連記事:HubSpotとGoogleカレンダーの連携で業務効率化!連携方法やメリットを解説
営業分析

営業分析は、営業チームのパフォーマンスをダッシュボード状に可視化する機能です。平均受注金額やクローズまでの期間、見込み客への応対時間など、営業活動に関するあらゆるデータを集約できます。
HubSpotには、90種類以上の営業レポートが用意されています。ダッシュボード上で好みの配置でレポートを並べるだけで、質の高い分析結果を参照できるでしょう。
関連記事:【HubSpot活用法】セールスアナリティクスの取引ファネル分析とは?メリットを解説
5. サービス
サービスは、Service Hubに登録することで利用できる機能です。問い合わせ内容の統合管理やナレッジベース作成など、カスタマーサポートに役立つ機能が充実しています。代表的な機能は次の通りです。
- チケット管理
- ナレッジベース構築
チケット管理

電話やメール、SNSなどの問い合わせごとにチケットを発行できる機能です。そのチケットには、問い合わせ内容や顧客の連絡先などの情報が登録できるため、顧客とのコミュニケーションを一元管理できます。担当者が個別に問い合わせ管理を行う場合と比べ、重複対応のリスクの最小化につながります。
また、各チケットに優先順位を付けられるのも特徴です。緊急度の高いチケットに最優先のタグを付けておけば、対応漏れによって顧客から信頼を失う可能性が低くなるでしょう。
「対応済み・未対応」といったステータス管理や、一次対応者による二次対応者へのメモ書きなどの機能も実装されています。
ナレッジベース構築

よくある質問とその回答をまとめたFAQサイトを構築できる機能です。タイトルやサブタイトル、その回答となる文章を入力するだけで、容易に個別のページを作成できます。ブログ作成機能と同様、文字の装飾や画像挿入などをワンクリックで行えるのもメリットです。
また、各ページをカテゴリに分けて見やすく表示することも可能です。PC向け・モバイル向けにレイアウトを変更できるため、「スマートフォンだと画面が見えづらい」といったトラブルの予防に役立ちます。
見込み客や顧客の閲覧履歴は、HubSpot上に自動で記録されます。質問者から回答を求められた場合でも、「未対応・対応済み」などのステータスを付与できるため、重複対応のリスクを抑えられます。
6. ワークフロー

ワークフローは、Operations Hubに登録すると利用できる機能です。営業活動やマーケティング活動などで発生する一連のプロセスを図式化できます。各ワークフローにはタスクを登録でき、事前に設定した条件にもとづいて自動的にアクションが実行されます。
例えば、見込み客の連絡先と送信時間などを条件に設定し、自動で見込み客へメールを送るといった形です。単純な作業であればシステムが自動的に実行してくれるため、営業担当やマーケティング担当はコア業務に集中できるでしょう。
7. ダッシュボード

ダッシュボードは管理画面のトップページに表示されます。
ダッシュボードは、期間別の売上高やチケット合計数など、各種レポートを自由に配置できるのが特徴です。さまざまな分析データを一目で確認できるため、営業活動やマーケティング活動などの状況を常に把握しておけるメリットがあります。
また、レポートの内容は自動的に集計されます。そのため、会議前に手作業でデータを集計してプリントアウトするような、単純作業の手間や時間を抑えられるでしょう。
ABM(アカウント・ベースド・マーケティング)やアクセス解析ツール、クラウド会計ソフトなどと連携し、HubSpot上にデータを集約できるのも特徴です。外部システムのBIツールと連携することで、さらに詳細な分析を行えます。
関連記事:HubSpotのダッシュボード機能とは?表示可能なレポートやダッシュボード作成手順についても!
HubSpotの具体的な活用シーン
ここまでにお伝えしたHubSpotの機能は、実際に営業活動やマーケティング活動などへ、どのように落とし込めるのでしょうか。ここでは、HubSpotの具体的な活用シーンをご紹介します。
一気通貫したマーケティングプロセスの実現
マーケティングプロセスは、「リードジェネレーション~リードナーチャリング~リードクオリフィケーション」によって成立するのが一般的です。幅広いマーケティング支援機能が含まれたHubSpotなら、このプロセスを一気通貫で実行できます。
例えばリードジェネレーションでは、Webサイト作成やLP作成の機能が役立ちます。広告やSNSなどを使って自社サイトにアクセスを促し、資料請求やホワイトペーパーダウンロードを行うためのフォームを設置。そのフォームに見込み客の情報を入力してもらうことで、リード獲得につながります。
リードナーチャリングでは、メール配信機能やWebサイト作成機能が効果的です。メールやオウンドメディアなどによって見込み客との接触機会を増やすことで、関係性を構築できます。何度もコミュニケーションを取るなかで見込み客の購買意欲を醸成させることが可能です。
リードクオリフィケーションでは、データ分析機能を活用してホットリードを特定すると良いでしょう。HubSpotでは、見込み客の行動履歴にもとづき、自動的にスコアリングを行ってくれます。
営業とマーケティングのスムーズな部門間連携
前述したマーケティングプロセスを一貫して実行すれば、質の高いリード情報を営業部門へ送客できます。これにより、営業部門でよくありがちな「マーケティング部門から送られてくるリードの質が低い」「送客データに従って営業をかけても成約につながらない」といった課題をクリアしやすくなるでしょう。
営業活動のパフォーマンスはHubSpotのシステムに随時記録されるため、マーケティング部門でその情報を分析し、次回のリード獲得の施策へと活かすことも可能です。
また、マーケティング部門が作成したコンタクトリストは、そのまま営業部門が活用できます。そのリストをもとに営業活動を行うことで、営業部門におけるリスト作成の手間削減や、見込み客に関する認識の相違回避に寄与します。
LTV向上を目的としたカスタマーサポート
HubSpotでは、チケット管理によって問い合わせ業務の一元管理が可能です。そして、カスタマーサポートの応対履歴は、随時システム上に反映されます。その応対履歴のデータを活用することで、単に顧客の疑問を解決するだけのカスタマーサポートから、LTV向上を目的とした経営上重要なチームへと生まれ変われます。
例えば、商品やサービスに対する顧客からのフィードバックを分析し、現在の製品に不足する箇所を特定します。それをもとに製品を改良し、アップセルやクロスセルといった営業活動に結び付けることが可能です。
ほかにも、顧客が抱えている不満や現在の状態をカスタマージャーニーに落とし込むことで、より能動的な顧客サポート(=カスタマーサクセス)へと発展できます。仮に顧客が製品導入初期で悩みを抱えている場合は、KPI・ロードマップの策定サポートや、顧客訪問による課題分析などを通じて課題解決をはかると良いでしょう。
このように、HubSpotに蓄積された顧客の声を、自社製品の品質や顧客応対に反映させることで、LTVの向上が見込めます。
自社の目的をもとにHubSpotの適切な製品を選択しよう
HubSpotは、どのような製品を活用するかによって、できることが大きく異なります。
まずは全体的な機能を把握し、マーケティング活動にはMarketing Hub、営業活動にはSales Hubといったように選び分けると良いでしょう。今回ご紹介した各種機能の特徴や活用シーンを参考に、HubSpotを最大限に活用してください。
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