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『事例広告・導入事例 バイブル』本から実践!書評・感想と事例作成方法のコツ

2021.08.07

2023.06.08

BtoBマーケティング

事例広告

コンバージョンへの決め手となる導入事例を作りたくありませんか?

導入事例の書き方次第でDXの導入決定を大きく左右するといっても過言ではありません。

とくにソフトウェアやソリューションなどをサービスとするBtoBの場合は、自社サービスの導入実績が決め手となるでしょう。

この記事では、書籍『事例広告・導入事例バイブル』から実践する、導入事例制作について解説します。

現在、自社の事例を作っていて物足りなさを感じている事例制作担当者は、ぜひお役に立ててください。

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事例広告・導入事例とは?

事例広告とは、顧客に対して自社製品の実績を伝えるマーケティング手法です。

導入事例は、事例広告の中で示す自社製品の導入実績になります。

事例広告と導入事例は、事例戦略としてBtoB営業における訴求効果の高い施策です。

書籍『事例広告・導入事例 バイブル』とはこんな本

『決定版 事例広告・導入事例 バイブル』の詳細を確認する

事例広告・導入事例については、日経BP社から出版されている書籍『事例広告・導入事例バイブル』により、391ページの量で解説されています。

導入実績を事例広告として伝える技術が習得できる

『事例広告・導入事例バイブル』は、導入事例のインタビュー方法から書き方まで、事例広告として伝える技術が習得できる内容です。

さらに導入事例のテンプレートや出演依頼の仕方など、筆者が積み重ねてきた事例制作の実績を惜しみなく実例として紹介しています。

筆者は、BtoB営業を手がけて、事例広告・導入事例専門のコンサルティング会社を運営しているプロの事例制作者です。

いままで蓄積された実績から学べるので、実践的な内容となっています。

書籍内で紹介している事例制作技術を活用できる

書籍では、事例制作の考え方をはじめとして、制作に役立つ技術が活用できます。設計やインタビュー、ライティングなど、事例制作の段階や担当ごとのノウハウが豊富です。

322の具体的なノウハウが事例づくりの技術習得に役立つでしょう。

『事例広告・導入事例 バイブル』の要約:ザックリと3部構成で分けられる

書籍『事例広告・導入事例 バイブル』は、3部構成で分けられています。

  • 戦略編
  • ノウハウ編
  • 業界別編

3部構成の中でもとくに、ノウハウ編で筆者の実績と経験が詰めこまれている印象です。ノウハウ編は、260ページ以上のボリュームになります。

戦略編で事例制作の考え方を理解したうえで、ノウハウ編の具体的な方法を取り入れていくイメージです。

3部構成について要約しましょう。

戦略編:事例広告・導入事例の基本的な考え方がわかる

戦略編は、事例広告・導入事例の基本的な考え方について書かれています。

著者の経験による事例マーケティングの発想にふれるイメージです。

戦略編は、TIPSとなる13のストラテジーで構成されています。

たとえば、導入事例が重要な理由や、品質の高い事例の見分け方などです。

13のストラテジーでは、最初から導入事例の書き方について書かれている点が特徴的です。

ノウハウ編:事例制作の技術が紹介されている

ノウハウ編では、322の事例制作ノウハウが書かれています。実践で役立つノウハウ編は、次のような章に分けられた構成です。

  • 事例の設計
  • インタビュー
  • 写真撮影
  • ライティング
  • キャッチコピー

中でも、導入事例のインタビュー方法について事例取材時のコツから、トークスクリプトのテンプレートまで紹介されています。

書籍で紹介された導入事例をつくるうえで重要な、出演依頼の文章は、Webでダウンロード可能です。

写真撮影のノウハウでは、撮影技術についてだけではありません。あくまでも事例広告として効果を出すことに着目しています。

視点は、写真家ではなく事例制作者です。ノウハウ編は、導入事例の制作を段階ごとに振りわけてノウハウが掲載されています。

そのため、あとから必要な部分のノウハウを拾っていく読み方も効果的です。

業界別編:事例制作のポイントが紹介されている

業界別編では、5つの業種による導入事例の制作ポイントを紹介しています。

  • 有形商材を扱う製造業の事例制作ポイント
  • コンサルティング業の事例制作ポイント
  • 経営者向けの商品における事例制作ポイント
  • 税理士・行政書士・司法書士など士業ビジネスにおける事例制作ポイント
  • 保険業の事例制作ポイント

業種別編で紹介している事例制作のポイントは、「導入事例による可能性」に言及している点です。業界により「どのようなポイントを押さえれば事例が活かせるか?」具体的に書かれています。

導入事例の作成方法

それでは、書籍を参考にした導入事例の作成方法について解説しましょう。

読まれるための条件をそろえる

読まれるための条件

  • ターゲット層に近い業界
  • ターゲット層が自分のことのように捉える業種
  • ターゲット層と似たような企業規模
  • ターゲット層と共通する課題感など

導入事例の条件として、大手企業の導入事例をつくる際は、注意が必要です。

大手企業の場合は、ブランド力があり認知度から信頼を高められます。

しかし、ターゲット層の企業規模とかけ離れている場合、ターゲット層は自分のこととして受け入れてくれないでしょう。

大手企業の事例をつくる際は、ターゲット層の企業規模がかかえる課題感をふまえていることが必要です。

さらにターゲット層となる企業にとって、業界で成功している事例であることは、読まれるための条件となります。

導入事例の制作は、実績を伝えることです。事例を依頼する企業が実績を出すまでには、時間がかかることを理解しておきましょう。

導入事例の形式を決める

導入事例の形式は2つに分けられます。

  • あらかじめ用意しておいた質問へ回答してもらうテンプレート形式
  • シナリオのないインタビュー形式

導入事例を追加していく場合は、質問の固定されているテンプレート形式が適しています。

その理由は、複数の事例をポイントごとにまとめて比較しやすくなるからです。

インタビュー形式の場合は、依頼先企業の知名度やインタビューワー、ライターのスキルに左右されます。

確実性を求めるのであれば、テンプレート形式での事例から作りましょう。

導入事例の構成を設定する

導入事例は、構成を次のように設定します。

  • 事例対象の企業情報(地域・業界、業種・企業規模など)
  • インタビュー対象者の紹介(部署・役職・氏名など)
  • 導入までの背景(企業のかかえる課題やニーズ)
  • 導入を決めたポイント
  • 具体的な活用の流れ
  • 活用したうえでの見解
  • 導入による物量的な効果
  • 導入成果を活かした今後の目標

インタビュー形式の場合は、構成にそってヒアリングしていくことがポイントです。

この構成のポイントは、検討段階のユーザーにとって共感をあたえる選定基準となります。

導入背景や実際の効果など、検討段階のユーザーにとって自社に置きかえられる情報となるでしょう。

ストーリー展開で作成する

導入事例は、ストーリー展開でつくる必要があります。

ビジネス文書は、結論からはじまるのが基本です。具体的には、次の流れになります。

  • 結論
  • 理由
  • 裏付け
  • 提案

このビジネス文書の流れが「結承転提」です。

ストーリー展開の場合は、「起承転結」になります。

導入事例をストーリー展開でつくる理由は、導入に至った経緯や成果が出るまでのエピソードが起承転結にあてはまるからです。

  • 導入までにどのような課題を抱えていたのか
  • その課題と照らし合わせて同じか
  • なぜ導入を決めたのか

結果として、導入による効果を知るためにストーリー展開は、流れるように読み進められます。

読まれる導入事例を作る4つのコツ

読まれる導入事例を作る4つのコツを紹介しましょう。

  • 事例タイトルに具体的な成果を入れる
  • 失敗談やマイナス要因も含めて信ぴょう性を上げる
  • 導入事例を掲載・配信する媒体の効果を理解する
  • 複数の事例は一覧ページで見つけやすくする

事例タイトルに具体的な成果を入れる

事例タイトルには、具体的な成果を入れることが重要です。

ターゲット層の企業規模や求める成果に共通点があれば、自分のこととして読まれる可能性が高くなります。

さらに知名度の高い企業の事例であれば、信頼度が増すでしょう。

ターゲット層に伝わる共通点と信頼度を事例タイトルに盛りこむには、具体的でわかりやすいことが大事です。

  • どのような企業が
  • どのような課題を取り組み
  • どのような成果を出せたか

具体的にするためには、数値を使ってわかりやすく表現しましょう。

たとえば、「〇か月で〇〇時間の削減」や「導入前と比べて○○%改善」など、具体的な数値であらわすと効果的です。

失敗談やマイナス要因も含めて信ぴょう性を上げる

読まれる導入事例をつくるには、失敗談やマイナス要因もふくめて信ぴょう性を上げることがポイントになります。

導入前に類似製品をためして失敗した経験や、導入してもなかなか使いこなせなかったマイナス要因も掲載することにより、情報の信ぴょう性が高められるでしょう。

最初につまずいても、失敗を乗り越えるストーリー展開は、読み進めたくなる展開となります。

導入事例を掲載・配信する媒体の効果を理解する

導入事例が作成できたら、公開先の選定です。導入事例を掲載・配信するには、媒体を選ぶ必要があります。媒体選びは、効果を理解したうえで選びましょう。

  • Webサイト内のコンテンツとして掲載
  • メルマガによる配信
  • SNSを活用した広告配信
  • プレスリリースでの配信
  • ホワイトペーパーへの掲載

Webサイト内のコンテンツとして掲載

導入事例をWebサイト内のコンテンツとして掲載した場合、Webサイトに訪れた見込み客に読まれることが考えられます。

ただし、導入事例コンテンツ単体では、自然検索ユーザーのアクセスを増やせないため、他の媒体との連携が必要になるでしょう。

メルマガによる配信

自社メルマガの読者がある程度いる場合は、メルマガによる紹介も有効的です。

メルマガ自体で完結させるのではなく、Webサイトに掲載された導入事例コンテンツへの誘導となります。

導入事例コンテンツのページは、ランディングページのように直接的なコンバージョンが期待できません。メルマガから誘導するにはコンバージョンではなく、検討フェーズ後期の状態となるユーザーの検知を役割とします。

検討フェーズ後期のユーザーを獲得する目的であれば効果的でしょう。

SNSを活用した広告配信

SNSを活用した広告配信は、事例により効果を引き出すことがむずかしいでしょう。その理由は、反応するユーザー層の数が少ないことです。

知名度の高い大手企業であれば、ホワイトペーパーの配布として効果が期待できます。

SNS広告の場合は、先ほどのメルマガ同様、事例に反応するのが検討フェーズ後期のユーザーです。

ユーザー層の数が少ないため、広告配信によるコストは高くなることが考えられます。

プレスリリースでの配信

導入事例が知名度のある企業の場合、プレスリリースでの配信は効果的です。事例の企業が大企業であれば、おなじ規模の企業が見込み客となることが考えられます。

ホワイトペーパーへの掲載

検討フェーズ後期の見込み客であれば、ホワイトペーパーへの掲載は有効です。ホワイトペーパーであれば、Webサイトからダウンロードさせたり、商談資料として営業コンテンツにしたりと、幅ひろく活用できます。

複数の事例は一覧ページで見つけやすくする

複数の導入事例がある場合は、一覧ページで見つけやすくすることが必要です。

事例の数が多ければ多いほど、目的の事例にたどり着きやすいよう検索機能を設置します。

検索項目は、次の通りです。

  • 業種
  • 業態
  • 企業規模
  • 企業課題
  • 導入製品など

導入事例が多い場合は、一覧ページに訪れたユーザーへの対応が重要になります。

「自社と状況が似ている」と思わせる事例をすぐに見つけてもらえる構成にすることです。

そのためには、事例ページの最初の部分で「どのような課題で導入してどのような成果を出した事例か」

わかりやすく表示する必要があります。

『事例広告・導入事例バイブル』を役立てて事例広告を作ってみませんか?

導入事例のつくり方について、書籍『事例広告・導入事例バイブル』の紹介から、読まれるための事例づくりのコツまで解説してきました。

この記事で紹介した導入事例のつくり方は、書籍に書かれているノウハウにも到達していません。

それほど、書籍『事例広告・導入事例バイブル』に書かれている、導入事例に対しての概念とノウハウは具体性と拡張性があります。

ここまで読み進められて興味を持っていただけたら、ぜひ書籍を参考に事例広告を作ってみてはいかがでしょうか。

参考文献:

日経BP社発刊,村中明彦著『決定版 事例広告 導入事例バイブル』

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澤田 浩充 FLUED BtoBマーケティングスペシャリスト

2020年、BtoBマーケティングの分析に特化した記事編集を行うため、株式会社FLUEDメディア事業部へジョイン。

バックオフィスのDXを目的としたSaaSツールやCRMツールベンダーのセールス・マーケティングに関する記事が専門分野。